「一応、大臣らの意見も聞いてみよう」
「えぇ、それが宜しいでしょう。…それと、最後に一つだけ申し上げても宜しいでしょうか?」
「何だ?」
引き続き敬語で話すファンを見て、『まだ何かあるのか』とリードは深いため息をついた。
「職務を怠ったメイドへの処罰はいかがなさいましょう?」
「今回、一部の使用人は薬で眠らされていたらしいな」
「えぇ。一階に勤める者達は皆、気絶させられておりました。商談を破談された恨みで、本当は違う事を企んでいたのかと思われます」
「何故、付き人もつけずに一人あの場に居たのかは不思議だが、今回は処罰をしなくて良い」
「……宜しいのですか?」
普通なら厳罰を下されるのに、珍しく何もなさらない姿を見てファンは不思議そうに首を傾げた。
「気絶させられていたのなら仕方あるまい。それよりも、今後このような事が起きぬ様、兵士や騎士達には一層気を引き締めるように伝えておけ。もし同じ事が起きようならば……その時は罰を与える」
「かしこまりました」
言葉を受けたファンはリードに軽く頭を下げると、『自白を綴った報告書類を置いておきますので、時間がある時に目を通しておいて下さい』と言い残して執務室を後にした。



