とは言え、陛下の手を借り立ち上がる事が出来た私は未だに震えが収まっていない事に気が付いた。
本当に……殺されてしまうかと思った。
あの恐怖をもう一度味わう事になるだなんて。
「……陛下?」
陛下は痛ましげな目で私を見ると、頬にそっと手を触れた。
「……顔に傷が出来てしまったな」
「え?」
「確か女は、顔に傷が出来る事を嫌がるものなのだろう?」
まさか陛下がそのような事を気にされているとは思わずに、目を丸くしてしまった。
「た、確かにそうではございますが、この様な傷は自然に治る事もございますし、具合によってはお化粧で誤魔化す事も出来ますので…」
「……そうか」
陛下は短く言葉を返した。
もしかして…心配してくれたの?
そう聞いてみたかった。
けれど、今は止めておくことにした。
もの凄い疲労感が私を襲い、今にも寝てしまいたかったから。



