暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》




「…さて、どうでしょうね」


「え~!アニ様教えて下さらないのですか!?」


「ほら、リリアンもこのお茶を飲んでごらんなさい。とても美味しいわよ」



リリアンへ差し出したお茶によって、話を上手く逸らす事が出来た。



…そう言えば、そろそろ私の荷物が部屋に届いてるはずよね。



私がここへ来る前に弟のグラントへ送るように頼んだ荷物の中には、変装用のウイッグや眼鏡も入っている。


ちゃんとここへ届けられているか確認する必要があるが、使用人専用の部屋へ向かうには一度一階まで下り、裏口を通って使用人用居室棟へ向かう必要があった。



「どうされましたか?」


「あー……」


もしそこへ向かうなら、サニー達を置いていく必要がある。


客人の私が突然、使用人用居室棟へ行ってみたいなんて口にすれば、変に思われるに違いない。


そう考えた私は少し恥ずかしいけれど、お手洗いに向かいたいという口実で部屋から出る事に成功した。


それも、一人で。



サニー達は一緒について行きたいようだったが、たかがお手洗いだからと部屋で待つように指示をした。