もしも、この力が他の人に知られてしまったら。
私は捕らえられ、命尽きるまで一生利用され続けるのかもしれない。
……絶対にバレないようにしないと。
「お姉ちゃん、ばいばーい!」
「気を付けてね」
その後、マリーちゃんは捜しに来たお母さんに手を引かれて無事に帰って行った。
「さて、帰りましょうか」
近くで待機していたサニー達へ声をかけお城へ戻ると、商人が陛下と商談をしているのかお城の中は静まり返っていた。
使用人達の手で質素なドレスから飾りのついた豪華なドレスに着替えさせられると、近くにあった椅子へ腰を下ろす。
「そちらのドレスも陛下が贈られたみたいですよ」
「アニ様は陛下の特別なお客様ですね」
着せ替えた使用人達が微笑ましそうに口に出す。
何故陛下がこのように贈られるのか知らないが、ドレスを持っていない私の事をきっと哀れんでいらっしゃるのだろう。
「この薔薇はどちらに飾りましょうか?」
「では、あそこの窓際にお願い出来る?」
「かしこまりました」
フラワーショップ・カレンの花はどれも上質なものばかりで、つい購入してしまった。
窓際に飾ってもらった薔薇が外から差し込む日の光に当たって、とても美しい。



