暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》




「どうかなさいましたか?」


「…あ、いえ…っ」


アニーナの方は早急に休職届けを提出したから良いとして。


アイルさんの方は恐らく怒りまくっているに違いない。


いつになるか分からないけど、休み明けが怖い…。


お店の中を少し見て回り外へ出ると、辺りは何やら騒がしかった。


「何かあったのでしょうか…?」


不安そうなリリアンの顔。


アンナもダリアも表情を曇らせている。


しかし、道を挟むようにして群がる人達は何やら興奮しているようだった。


「どうかされたのですか?」


サニーが近くに立っていた男の人へ声をかけた。


「俺も今来たところだが噂では有名な商人がお城へ向かっているそうだ。見た人によるとその馬車はとても華やかだったとか」


有名な商人…か。お城の中が少し慌ただしかったのもそのせいだったのね。


有名というぐらいだとしても、恐らくその商人は只者ではないのだろう。


帝国内の商人相手に、普通使用人があそこまで動かない。


余程、重要な取引相手には違いない。


「お、そろそろ来るみたいだぞ!」


その者の視線の先には、派手な外装を見せびらかすようにゆっくりと走行する馬車があった。


まるでパレードね。