白色のテーブルクロスが敷かれた無駄に横長いテーブルの上には、フォークとスプーン等が綺麗に並べられている。
恐らく向かい側が陛下の席だろう。
同じようにフォーク等が並べられてあった。
――ガチャ。
ドアの開く音と同時に部屋の中へ現れたのは、先程お会いした時と何も変わらない陛下の姿だった。
スッと立ち上がると、陛下に向かって軽く頭を下げる。
「…座れ」
「はい」
陛下が席に着いた事を確認してから、私も腰を下ろす。
「………」
静寂がその場に流れる。
無言で陛下と向かいあっているうちに、料理が次々と目の前に運ばれてきた。
コーンポタージュに小麦粉の柔らかなパン。そして、高級なヒレ肉のステーキに色鮮やかな野菜のサラダ。
普段口にする事の出来ない見るからに美味しそうな料理を目の前にして、私は思わず唾を飲んだ。
このお城で提供される使用人達の食事は、小麦粉のパンにスープ、それから鮮度の落ちた余り物の肉料理等だ。
平民の食事と比べるとお城で提供される使用人の食事は豪華だが、今目の前に出されている料理はそのレベルが違う。



