サニー、リリアン、ダリア、アンナ。
以上、四人がお城にいる間私のお世話をしてくれる使用人になる。
だが、正直言うとこんなにも使用人は必要ない。
自分の事は自分で出来るし。
貴族ではなく平民だし。
この人達に手伝ってもらう事と言えば、ドレスの着替えぐらいだ。
ーーコンコンコンッ。
丁度十九時になった頃、部屋にノックの音が響いた。
「失礼致します。アニ様、お食事の支度が整いました」
「もうそんな時間なのね……」
先程まで楽しかった気持ちがその一言で、一気に憂鬱な気持ちへと変わる。
今晩は一緒に食事をする事になっているとはいえ、陛下との食事は少々気が重い。
けれど、身体は正直で良い具合にお腹は空いている。
「お部屋にご案内致します」
「…ありがとう」
呼びに来てくれた使用人の後をついて行くが、行先はどこか分かっていた。
恐らく華(か)の間だろう。
陛下やその客人がお食事をする際に良く使用する部屋だ。
「陛下がお越しになられるまで、少々お待ち下さい」
予想通り華の間に案内された私は、引かれた椅子に腰を下ろす。
流石にここで食事をした事はないが、他国のお客様がお越しになった際に臨時スタッフとして料理をお出しした事がある。
いつ見てもこの部屋のシャンデリアは豪勢で、宝石のように輝かしい。
まさに、華の名前に相応しい部屋だ。



