暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》




部屋から出ると、そこにはディノンが立っていた。


「ずっと待っていたの…ッ!?」


「わたくしはテリジェフ様付きのメイドでございますから」


そう言って、ディノンは軽く頭を下げる。


穏やかなその顔に、さっきまで青ざめていた顔が一気に戻っていく。


「何だか、顔色が悪いようですが…」


「ううん、何でもないの。部屋に戻りましょうか」


「はい」


落ち着いた気持ちで部屋へ戻ると、一緒に配属された三人のメイドが待機していた。


「アニ様、お茶をどうぞ」


「ありがとう」


サニーから紅茶を受け取る。


それを見ていた他のメイドが羨ましそうに声を上げた。


「テリジェフ様とサニーっていつの間に仲良くなったのですか!?」


少しでも私付きのメイドと親しくなりたいと思って、サニーには戻る途中に下の名前で呼んで欲しいと伝えたけれど、


まさか他のメイド達も羨ましがるとは思っていなかった。


「貴女達も下の名前で呼んでも構わないけれど…?」


「本当ですか!?嬉しいです!」