部屋から出ると、そこにはディノンが立っていた。
「ずっと待っていたの…ッ!?」
「わたくしはテリジェフ様付きのメイドでございますから」
そう言って、ディノンは軽く頭を下げる。
穏やかなその顔に、さっきまで青ざめていた顔が一気に戻っていく。
「何だか、顔色が悪いようですが…」
「ううん、何でもないの。部屋に戻りましょうか」
「はい」
落ち着いた気持ちで部屋へ戻ると、一緒に配属された三人のメイドが待機していた。
「アニ様、お茶をどうぞ」
「ありがとう」
サニーから紅茶を受け取る。
それを見ていた他のメイドが羨ましそうに声を上げた。
「テリジェフ様とサニーっていつの間に仲良くなったのですか!?」
少しでも私付きのメイドと親しくなりたいと思って、サニーには戻る途中に下の名前で呼んで欲しいと伝えたけれど、
まさか他のメイド達も羨ましがるとは思っていなかった。
「貴女達も下の名前で呼んでも構わないけれど…?」
「本当ですか!?嬉しいです!」



