「これは……」
箱の中に入っていたのは、美しい真っ赤なドレス。
少し露出のあるデザインではあるが胸元に付けられたリボンが可愛く、上質な手触りから高級なドレスだと見て分かる。
「晩餐に向かわれる際、このドレスを身につけられてはいかがでしょうか?」
「こんな上等なドレス……きっと私には似合わないわ」
馬子にも衣装だ。
「そんな事はございません。とてもお似合いになるはずです」
この機会でしか着る事のない服を頂いた罪悪感もあるけど、陛下が私に贈り物をした意図が分からない。
似合っていないと、楽しむ為?
それとも、平民だと気づかれないように見せかける為?
取り合えず、これに着替えるまでラディカルメイド長は諦める気がなさそうだ。
「……分かった。それに着替えるわ」
「かしこまりました。支度の手伝いを!!」
「「「はい!!」」」
その一言で他のメイド達は私の身支度を手伝う。
頂いたドレスに着替え、丁寧に髪をくしで梳かし。
唇に紅を塗ると……。
「まぁ!とてもお似合いでございますわ」
「お綺麗です!さぁ、お鏡をご覧下さい」
言われるがまま、渡された鏡に視線を向けてみると、そこには綺麗に整ったまるで別人のような私の姿があった。
「……凄い」
ただ一つだけ不思議なのは、何故かサイズがピッタリだと言う事。



