暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》



「テリジェフ様のお世話を担当しますサニー・ディノンと申します」


後ろで髪を一つ結びにした緑髪の女性は、私に向かって頭を下げた。

さっきメイド長が言っていたディノンとは、この人の事ね。


「私はアニ・テリジェフ。宜しくね」


「そのようなご丁寧に…恐縮でございます!」


時間があれば他のメイド達にも名前を聞きたかったけど、

ラディカルメイド長が何度も時計に視線を向ける事からして、まだ何かあるのかもしれない。


「どうかしたの?」

「わたくしとした事が……お気を遣わせてしまい申し訳ございません」


「いえ、私は構いませんが…」


「こちらは陛下がテリジェフ様へと賜られた物でございます」


メイド長がそう言うと、赤いリボンで結ばれた大きな箱が目の前に運ばれてきた。


「陛下が……私に?」


意外な言葉に思わず目を見開く。


陛下から賜ったものとは、一体……。


「どうぞ。お開け下さいませ」


恐る恐るリボンを解く。


箱の中に入っていた物とは……。