……この人も私の黒髪が珍しいから、お城へ連れて行こうとするのかしら。
結局は、先程の人さらいとやる事は変わらない。
ただ……売られるか売られないかの違いだ。
「…………もし。ついて行かなければ、どうなりますか?」
「反逆とみなし、牢に入れる」
重い沈黙がその場に流れる。
この傲慢な態度。まるでこの人が皇帝陛下みたい。……実際に見た事はないけど。
皇帝陛下に逆らったわけでもないのに『反逆』とは……。
実に物騒な言葉が飛び出て来たものだ。
「………」
「アニ姉」
私がどんな言葉を返すのか、不安げな弟の姿。
もしこれで断れば。
私は反逆者となる。
この男の言葉からすると…だけど。
家族までも巻き込むわけにはいかない。
自分を落ち着かせるように深呼吸をすると、男へ視線を向けた。
「………行きましょう」
「アニ姉…ッ!」
「大丈夫よ、グラント…」
酷い顔をしたグラントを落ち着かせるように、微笑んで見せる。



