暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》




「…実に面白い奴だ。では、違う理由で来ると良い」


「違う理由……?」


「あぁ。そなたを客人として迎えよう」


「…ッ!?」


客人として迎えよう……って。


例え偉い方の冗談であっても、その発言だけは許されない。


部外者がお城の中に入る時は、必ず皇帝陛下の許可がいる。


皇帝陛下以外がお城へ立ち入る許可を出すなど、一歩間違えれば皇族冒とく罪にもなりかねない…。


この人は命が惜しくないのだろうか。


それとも、恐れ知らずなのか。


「平民の私が勝手にお城へ立ち入るなど…とんでもございません!」


「問題ない。余が言っているのだ」


「……ですが」


『従え』


そう言うような冷たい目に、思わず表情が硬直する。


何て威圧感……。


このまま言葉通りに従わなかったら、何をされるかも分からない。


得体のしれない恐怖が私を襲う。



「……ッ」


もし、このままついて行けば。


確実にややこしい事になる。


言葉を失う私に、心配そうな弟の視線が突き刺さる。