「…実に面白い奴だ。では、違う理由で来ると良い」
「違う理由……?」
「あぁ。そなたを客人として迎えよう」
「…ッ!?」
客人として迎えよう……って。
例え偉い方の冗談であっても、その発言だけは許されない。
部外者がお城の中に入る時は、必ず皇帝陛下の許可がいる。
皇帝陛下以外がお城へ立ち入る許可を出すなど、一歩間違えれば皇族冒とく罪にもなりかねない…。
この人は命が惜しくないのだろうか。
それとも、恐れ知らずなのか。
「平民の私が勝手にお城へ立ち入るなど…とんでもございません!」
「問題ない。余が言っているのだ」
「……ですが」
『従え』
そう言うような冷たい目に、思わず表情が硬直する。
何て威圧感……。
このまま言葉通りに従わなかったら、何をされるかも分からない。
得体のしれない恐怖が私を襲う。
「……ッ」
もし、このままついて行けば。
確実にややこしい事になる。
言葉を失う私に、心配そうな弟の視線が突き刺さる。



