暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》



一歩、二歩。そしてー……。


「待て」


「……」


あの男の声に、ふと足を止める。


「何でしょうか?」


どこか面白そうに、男は私へ言葉を放った。









「………城の仕事に興味はないか?」


長い沈黙がその場に流れる。


えっと……今この人。


「城の仕事と仰いましたか?」


「あぁ、そうだ」


男は、私がどんな反応をするのか伺う様だった。


他の人ならそのお誘いにのるだろうなぁ~…。


城の職は誰にでも受験資格はあるが、学のある人しか受からない。


部署によってその難易度も変わるのだが、城の中でも良い職に就こうと思うと、やはりそれなりの学がいる。


側近部もその内の一つだ。


難関と呼ばれる試験を無事に通過出来た者だけが、就く事を許される。


………まぁ、中にはコネを利用して、職に就いた者もいるみたいだけど。


位の高い官僚や大臣の推薦があれば、試験無しに就く事も可能だと聞く。



私の答えはもちろんー……。



「申し訳ございません」


『No』だ。