「何言ってるの!ほら、ちゃんと学校へ行きなさい」
「嫌だね」
「グラント!!」
反抗期なのか。
中々学校へ行きたがらない弟に、母は怒り気味に叫ぶ。
「…アニ姉がせっかく帰って来たんだぜ。どうせ一人でいても暇だろうし、俺も一緒にいる。こう見えても俺、そこらの奴より強いんだぜ?」
無邪気な笑顔をこちらに向ける弟。
そう言えば、以前帰省したときに弟から聞いた事がある。
年に一度町で開かれる剣術トーナメント戦で、千五百人もの出場者の中から優勝を勝ち取った……と。
大人は参加できない、子供だけの試合だったみたいだけど。
昔は弱虫だったのに、強くなったのね……。
この里に部外者が入る事は殆どあり得ない。
けど、万が一の事を考えてグラントが側にいてくれたら、私的には助かる。
「お母さん。私からもお願いするわ」
「アニーナが言うなら仕方ないわね……」
お願いする私の姿を見て、母は私を護る事を条件に渋々承諾してくれた。



