暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》




「何言ってるの!ほら、ちゃんと学校へ行きなさい」


「嫌だね」

「グラント!!」


反抗期なのか。


中々学校へ行きたがらない弟に、母は怒り気味に叫ぶ。


「…アニ姉がせっかく帰って来たんだぜ。どうせ一人でいても暇だろうし、俺も一緒にいる。こう見えても俺、そこらの奴より強いんだぜ?」


無邪気な笑顔をこちらに向ける弟。


そう言えば、以前帰省したときに弟から聞いた事がある。


年に一度町で開かれる剣術トーナメント戦で、千五百人もの出場者の中から優勝を勝ち取った……と。


大人は参加できない、子供だけの試合だったみたいだけど。



昔は弱虫だったのに、強くなったのね……。



この里に部外者が入る事は殆どあり得ない。


けど、万が一の事を考えてグラントが側にいてくれたら、私的には助かる。


「お母さん。私からもお願いするわ」


「アニーナが言うなら仕方ないわね……」


お願いする私の姿を見て、母は私を護る事を条件に渋々承諾してくれた。