「ははっ。セレナお姉ちゃんもお城で働いて見る~?」
「遠慮しま~す!」
姉が最近料理を頑張っていると以前母から送られてきた手紙で知ってしまった事もあり、思わず笑ってしまう。
「こら、ちゃんと目を開けて食べなさい!」
「ん~……」
朝から母に注意された弟は不機嫌そうにあくびをしながら、食べるペースを上げた。
「食べたら早く支度しなさ~い!遅れるわよ」
「え、もうこんな時間!?やば~」
急ぐ姉に作ったお弁当を手渡す。
「え、これもアニが作ってくれたの!?」
「うん」
「どんだけ女子力高いのよ~!ありがとう、頂くわね」
そう言って、姉は大学へと出掛けた。
私は他の子のように学校に通う事は出来ないけれど、お城の中には使用人も使って可能な図書館もあるので、足りない知識はそこで補うようにしている。
普通の子でなくとも、お城で保障された生活を過ごせているのでそれなりに幸せだ。
「グラント。早く行きなさい」
母の声が飛ぶ。
しかし、グラントはまだリビングの椅子に腰を掛けている。
「グラントー……」
「俺、今日学校に行かねえ」



