「ん…あれ?」

目を覚ますと、そこは寝室では無かった。

独特な薬品の匂いと、真っ白な布団。

恐らくここは医務室だ。

あの時、倒れてからここへ運ばれたのだろう。

どのくらい寝ていたのかしらないが、そこまで経ったようには見えない。

「それにしても、アイルさんが運んでくれたのかな?」

あの場にはアイルさんしか居なかった。

誰かの声も聞こえた気がしたけど、恐らく気のせいだと思うし。

後でアイルさんにお礼を言っておこう。

そう思いながら、ベッドから起き上がろうとした時。

……シャッ。

勢い良くカーテンが開いた。

そこに立っていた人物に私は思わず固まってしまう。

だって………。


「運んだのは余だ」


どうゆう事か陛下だったから。

今の私は地味なメイドなのに。

「何故、陛下がその様な事を…」

「余がそなたを運んだら可笑しいか?」

「可笑しいに決まっております!私はただのメイドなのですから」

普通は有り得ない事だ。

「ただのメイド……か」

面白そうに笑う陛下。

一体どうしたのだろうか。