「いや…そんな訳が…」

よく似ているけど違う。

アニは綺麗な黒髪で金髪では無かった。

しかし、瞳の色が全く同じで戸惑ってしまう。

「もしかして、アニーナがコーヒーを淹れてる事をご存知だったんですか!?」

何を思ったのか、聞いてもいない事を口にするメイドの女。

だが、それは丁度知りたい内容だった。

「このメイドがコーヒーを淹れてたのか?」

「え、その話では無かったのですか…!?」

口を滑らしたようだがもう遅い。

「もしや、お菓子もこのメイドが?」

「…はい」

恐れ知らずにもコーヒーにお菓子を添えてくる謎のメイドはこの女だったか。

気が変わった。

「このメイドは余が運んで行く」

「え、しかし陛下にその様な事は…」

「余が良いと言っている。そなたは持ち場に戻れ」

そこまで言うと、メイドは気にしながらもその場から離れて行った。

残ったのは俺と倒れたメイドのみ。

「…そなたは誰だ」