サニーを治してから三日が過ぎた。

少しだけ力を使ったはずなのにあの日から疲労感が抜けず、頭痛もする。

けれど、顔に出せば周囲が気にするので、必死に堪えていつも通りを装う。

「悪いわね〜手伝ってもらって!」

「いえ、丁度手が空いてたから」

アイルさんに頼まれたのは荷物運びで、二人で荷物の入った重いダンボールを運んでいく。

「これが最後の荷物ね!」

ドスっと荷物を下ろすと、アイルさんは疲れたようにため息をついた。 

重い上に数もあったので、運び終わるのに時間がかかってしまった。

もし一人でしていたのなら、これの倍はかかっていただろう。

「頑張ったし、休憩でもしましょう」

「そうだね」

そう言ってアイルさんと控室へ向かって歩いていた時、

「陛下は何がお好きなんですか?」

偶然鉢合わせたのは、豪華なドレスに身を包んだ綺麗な女性……と。

「陛下だ。相変わらず格好いいけど、威圧感が凄いのよね〜。隣にいる女性は誰なのかしら?」

陛下の姿があった。

女性は陛下の腕に手を絡め、体を密着させている。

「もしかして、新しいお妃候補だったりして」

「…え?」

新しいお妃候補……?

「お妃様が居なくなったら、再び大量の縁談が来ているらしいわ。他国のお姫様から帝国の大貴族のご令嬢まで。皆、妃になろうと必死みたいよ」

「そう…なんだ」

家柄の良い妃なら、反発する人など出てこないだろう。

学も気品も、全て持ち合わせた人こそ陛下の隣には相応しい。

これこそ私の望んでいた光景なのに……何故だろう。

見ていると胸が締め付けられて苦しくなる。