「アニ様!外にはあまり出ないで下さいね」

「そうですよ。物騒な手紙も届いた事ですし、護衛騎士が増やされたとは言え、油断禁物です」

あれから数日。

私宛てに差出人の分からない手紙が届いた。

『貴女は何者かに命を狙われている』

そこには忠告するような内容が綴られていて、その話は直ぐに陛下の耳に入る事となったのだが、

「流石に多すぎだと思うのだけど…」

どこを見ても騎士が立っている。

仮の妃とは言え、ここまでするなんて。

「ただのイタズラかもしれないでしょう?」

そもそも、お城の中には常に騎士が見回りしている。

あの手紙が事実だったとしても、これだけ騎士がいる中で相手も何かしようとは思わないはず。

「…でも、落ち着くまでは仕方ないわね」

そう言って、取りあえず納得してみる。

「そうですよ!警戒は大事です」

リリアンが出てこれるようになった事が何よりも嬉しくて、

この生活に慣れた私の警戒心は薄れていた。

こんなに騎士がいるのだから大丈夫……と。