「…え!?」

その言葉を聞いた私は、咄嗟に窓の方へ視線を向けた。

今はまだ外が薄暗く出発までに時間があるように思えるけれど、実際はどのくらいの時間が残されているのか。

日の昇り具合でペースを調節するのは中々難しい事なので、支度に少しの不安を抱く。

側近メイドの私であっても難しい内容を、客室メイドのサニー達が出来るかしら…?

「………」

もし支度中に日が昇ってしまったら……中途半端な格好で皆の前に出る事はないと思うけど、予定時間を狂わせてしまう事は確実だ。

側近メイドの私であっても、日が昇るまでに支度を終えれるか正直自信がないかもしれない。

そんな私の心情を読み取ったのか、サニーは自信に満ちた声で

「ご心配いりません!今から皆で支度をすれば、余裕で間に合います」

と言うと、開いたドアからダリア達が中へ入って来た。

「本日着用されるドレスをご用意致しました」

「ありがとう、ダリア。用意したドレスはあっちの方へ」

「はい」

サニーの指示で手際良く支度が進む。

ここへ来る前に細かく打ち合わせていたのか、その仕事ぶりは不安が吹き飛ぶ程に完璧だった。