暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》




「………分かりました。許可致します。この書類はわたくしの方で上に回しておきましょう」


机の引き出しから印鑑を取り出すと、休暇届けに押す。


これで私は安心して里帰りする事が出来る。


「それでは、失礼致します」

「えぇ」

明日に備えてこの日はいつもより早く、就寝についたー……。






翌日。


六時にお城を後にした私は家族にお土産を買って行こうと、帝国一と呼ばれる城下町の市場へ来ていた。


この市場はお城から近いという事もあって、メイド達も食料の調達によく足を運ぶ。

もちろん私もここで買い物をする事が多く、いつ来ても活気に溢れている。



「新鮮な野菜が入ってるよー!」


「魚はいかがですかー!この地方では珍しい魚が入ってるよ!」


道を挟むように建ち並ぶ露店からは、通行人の気を引こうと沢山の声が飛び交う。


「そこのお姉ちゃん!このアクセサリーはいかがかな~」

「あ、それ下さい」

「まいど~!」


家族が気に入りそうな物を自分の感性で選んでいく。


一通り買い物が終わると、市場を後にした。



それからの道のりは長く、山に囲まれた整備もされていない道をただ無心に歩く。