王女様はドレスの裾を掴み、優雅に挨拶をした。
「わたくしはヴィスタン王国の第一王女、ステラ・ラッシャー・ヴィスタンと申します。この度は我が国のパーティーにご参加下さり光栄ですわ!」
「招待状を受け取ってはいたが、近年忙しくてな。せっかく招待を受けたので、気晴らしにと参加してみたのだ」
「……ふふっ。隠さずともわたくしはちゃんと分かっておりますわ!陛下がヴィスタン国王へお越しになったのも、理由があっての事…だと」
王女様はそう言うと嬉しそうに赤く頬を染め、何か期待するような眼差しで陛下を見つめた。
「宜しければ今から静かな場所へ移動してお話でもなさいませんか?お互いに積もる話もあるでしょうし……」
さり気なく陛下の隣に立ち、腕を組もうとする王女様。
陛下はそれをさっと交わすと、私の腰に手を回した。
「残念だが余には積もる話が無いようだ。それに、パートナーとの時間を楽しみたい故、誰であれ邪魔されたくはないのだ。この意味、王女であれば分かるだろう?」
「……っ!」
王女様はそこで初めて私の存在に気がついたようで、顔を真っ赤にしながら陛下の隣に立つ私を睨み付けた。
これ以上、この場に居るのは良くない気がする……。
陛下も同じ事を思ったようで、
「では、失礼する。行こう」
私を連れてこの場から去ろうとした。
その時…
「…貴女、どこの大貴族ですの?」
王女様から声をかけられてしまった。
「…はい?」
それより…大貴族って一体どうゆう意味!?
戸惑っていると、王女様は上から下までなめ回すような目つきで私を見た。
「陛下のパートナーですもの。それはすごぉ〜く高貴な家柄なのでしょうねぇ〜」
「……あ」



