暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》


王女様はドレスの裾を掴み、優雅に挨拶をした。


「わたくしはヴィスタン王国の第一王女、ステラ・ラッシャー・ヴィスタンと申します。この度は我が国のパーティーにご参加下さり光栄ですわ!」


「招待状を受け取ってはいたが、近年忙しくてな。せっかく招待を受けたので、気晴らしにと参加してみたのだ」


「……ふふっ。隠さずともわたくしはちゃんと分かっておりますわ!陛下がヴィスタン国王へお越しになったのも、理由があっての事…だと」


王女様はそう言うと嬉しそうに赤く頬を染め、何か期待するような眼差しで陛下を見つめた。


「宜しければ今から静かな場所へ移動してお話でもなさいませんか?お互いに積もる話もあるでしょうし……」


さり気なく陛下の隣に立ち、腕を組もうとする王女様。

陛下はそれをさっと交わすと、私の腰に手を回した。


「残念だが余には積もる話が無いようだ。それに、パートナーとの時間を楽しみたい故、誰であれ邪魔されたくはないのだ。この意味、王女であれば分かるだろう?」

「……っ!」

王女様はそこで初めて私の存在に気がついたようで、顔を真っ赤にしながら陛下の隣に立つ私を睨み付けた。

これ以上、この場に居るのは良くない気がする……。

陛下も同じ事を思ったようで、

「では、失礼する。行こう」

私を連れてこの場から去ろうとした。

その時…


「…貴女、どこの大貴族ですの?」


王女様から声をかけられてしまった。

「…はい?」

それより…大貴族って一体どうゆう意味!?

戸惑っていると、王女様は上から下までなめ回すような目つきで私を見た。


「陛下のパートナーですもの。それはすごぉ〜く高貴な家柄なのでしょうねぇ〜」

「……あ」