暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》


パーティー会場には既に沢山の参加者が入場しているのか、ドア越しから楽しげな声が聞こえていた。


「アンディード帝国様ですね。確認致しました。どうぞお入り下さい」


入口で招待状を確認してもらうと、私はついに陛下と一緒に中へ足を踏み入れる。


「アンディード帝国様、ご入場!!」


到着を知らせる大きな声が響き渡ると、こちらを観察するような視線が一気に集まった。


「ほぉ…社交場には滅多に姿を現さないあの皇帝が参加するとは。一体、この国とはどういった繋がりが?」

「あの隣の女性は一体誰ですの!?」

「漆黒の髪なんて見たことがない…」


内容までは分からないけど、何やらコソコソと噂話をされているようだ。

内心不安になりながらも平然を装い、私は陛下の隣を歩く。


「ご機嫌よう。わたくしはマーブル王国の第一王女……」

「わたくしも是非ご挨拶を…」

「ちょっと順番は守って下さらない!?」


あわわわ…。

いきなり挨拶に来た人たちによって、私は蚊帳の外に放り出されてしまった。

気が付けば陛下の周りには沢山の人が集まっていて、私が入れる隙はどうやらなさそうだ。


長くなりそうだな~…と思った私は、近くにあった立食所へと足を向けることにした。

「うわぁ~…何これ美味しそう……」

サンドイッチに、クロワッサン…。マカロンにショートケーキまである。


他にも沢山のスイーツや軽食が並べてあって、どれから食べようか悩んでしまう。