「いえ。アニ様には力がございます」
「え…!?」
私のあの力を知られてしまったかと思い、内心ハラハラする。
けれど、意味が違ったみたい。
「アニ様に出会って陛下は変わられました。少しずつではありますが…」
「陛下が…?」
「はい。陛下にとってアニ様は特別な存在です。そうでなければ、女性に関心を持つ事もあのように感情を露わにする事もありませんから」
「そうでしょうか…」
「はい。幼馴染の私が言うのですから」
ファンさんはそう言うと、冗談交じりに笑った。
「…それはそうと、短期間で練習したとは思えない程にダンスがお上手ですね」
「本当ですか!?ありがとうございます」
必死に練習した成果が表れているみたいで、取り合えず安心した。
「夜まで時間がありますので、お部屋でゆっくりとなさって下さい」
「はい。練習に付き合って下さり、ありがとうございました」
私の言葉にファンさんは軽く頭を下げると、静かに部屋から出て行った。



