初恋チェリー






あたしはボールを磨く手が早くなる。



「せ、先輩はいつもこの時間なんですか?」


「まあ」


「でもいつも体育館来るといないような…」


「あー。ちょっと練習したら筋トレルーム行ってる」



そうだったんだ!

筋トレしてる先輩もカッコいいんだろうな…って何考えんの!


くるくる回してたボールをポンッとボールカゴの中に入れる先輩。




「つーことで行ってくるわ」



立ち上がって体育館を出ようとする先輩。

せっかく2人なのに…っ。




「あの!」


「ん?」


「あたし、東雲凛子って言います!」




………んっ?

あたし何名乗ってんの⁉︎



「いや、知ってるけど」



何言ってんだコイツみたいな顔してるー!


そりゃそうだ。

普通におかしい。


恥ずかしくて下を向くと視界に先輩のバッシュが入った。

バッと顔を上げると



「俺深田悠月だけど名前知ってた?」


「もちろん!」


「なんで食い気味」



そう言ってまた笑い出す先輩。