「花月ちゃん!皆でお菓子パーティーしようよ!」
「お菓子…パーティ…?」

「まあ、最期の思い出にはなるんじゃねえの?」

「あー!それはまだ言っちゃだめなの!花月ちゃんにいっぱい楽しんでもらいたいの!」



なぜか今日は、皆揃ってお菓子パーティーをするみたい。これを機に仲良くなりましょう、ってことなのかな…


「飲み物をお持ちしましたよ。」

「てことで、ポテチから開けるぞ。」
「ぽてち……?」

「は!?お前、ポテチも知らないの?安くてうまいスナック菓子なのに…。」


「だから言ったんです。花月さんにはケーキやスコーン、甘くて美味しいお菓子のほうが良いと。」

「とりあえず食え。うまいんだから。」



「え…あ、いただきます。……サクサクしてて美味しいです!お芋の味としおの味が合います。」

「な、うまいだろ?」

「こんな食べ物があることなんて全然知りませんでした。」


「こっちにもあるよ!僕はこれがおすすめかな。」


「ブラウニーだ……いただきます。甘くて美味しいですね。」



「やっぱり花月ちゃんには笑顔が似合うね。」

「え……?」




「花月ちゃん……屋敷に戻ろう。」

「え…?」


「花月ちゃんはここにいるべきじゃない。花月ちゃんはここにいても幸せにはなれない。黒鬼院様が花月ちゃんを欲しがっているのは目的を果たすため。きっと…最後には殺される。だからその前に…」

「ちょっと待って……。」


「僕は…僕たちは…花月ちゃんのためなら何でもするよ。」



なんで琉生くんは私を屋敷に帰そうとしているの…?そんなことしたら…


「僕はもう大切な人を失いたくないんだ。これ以上大切なものがなくなるのは嫌だ。僕は花月ちゃんに笑っていてほしい。そのためなら命を懸けても構わない。」

「本日…黒鬼院様は外出されています。ですので今のうちに貴女を彼らに返すことにしました。」


「ま、待って…何言って……。」


「いいか、俺らがこんなことするなんてのはお前だけだからな。あいつらのところに戻ったらあいつらと幸せに生きろ。俺らのことなんか気にするな。」



私がここからいなくなったら皆の命が危ないかもしれないのに……でも、ここに残るって言ったら劉磨さんたちを裏切ることになる。



「本当はね、イヤリングの通信機能を使ってあの人たちと連絡をとってたの。いつか花月ちゃんは返すからそれまでは僕たちの方で任せてほしいって。その時、約束したのが今日なの。普通だったらあの人たちがいるところから僕たちの屋敷にはたどり着くことができない。でも、1度だけチャンスがある。李仁くんの時空間を操る能力で2つの空間を繋げる。そうすればあの人たちと無事に会える。それで、あのお兄さんたちと幸せになってよ。」



「時間がもうない。時空のゆがみがある場所へ行くぞ。」




待ってよ…ずるいよ…私のためにそこまで考えてくれていたなんて……そんなに必死になって動いてくれていたなんて……


もう断れない……


違う。最初から断らせるつもりはなかったんだ。


何でそこまで……できるの……。