―劉磨side―

いきなり聞こえた泰輝の悲鳴。悠夜と急いで2階に上がる。


「どうしましたか?」
「ったく…何叫んで…。」


「奏…大丈夫か?花月も……。」

聖が奏から花月を退かそうとする。


「なに、するんら~。」

「え!?」


「思ってたより酔っぱらってるな…。」
「酔っぱらってなんかないんら~。フフフ…聖さん温かい~。」
「おい、放してくれ…。」

聖に抱き着き離れない花月。何がどうなってこうなってるんだ……?

「こいつに酒飲ましたのか?」
「ウイスキーボンボン食べさせたら…こうなった。」

「まったく…とんでもないことをしでかしてくれましたね。」

「花月チャン、笑い上戸になるのね…。」

「体が熱いんら~。」

そう言い花月が服を脱ごうとする。普段顔色を変えない聖が困惑しているが花月は気にする様子はなくボタンに手をかけようとしている。


「おい、何してる…。とにかく部屋に戻る…。」
「やら!皆とお話しする~!!」
「おい、はな…。」

「聖、そいつから離れろ。俺がそいつを運ぶ。」
「わ~、劉磨さんが優しい~。」

聖から奪い取るように花月を抱き上げる。俺の首に腕を回す花月。いつものこいつなら絶対にしないだろうな、こんなこと。

「俺が相手してやるから、お前の部屋行くぞ。」
「やった!レッツゴー。」
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「奏、大丈夫か?」

「なんとかね…それよりさ、僕…花月のこと…。」
「それ以上言うのはやめなさい、奏。」

「でも…皆も花月のこと好きなんじゃないの…?」
「そんなくだらないことを考えたらまた同じ思いをするだけです。」
「なんで好きじゃダメなの…?僕は隠したくない…。」

「柚のときのことを忘れましたか?」
「花月は柚の時みたいにはならない…それならいい?」

「柚の時みたいにはならない…?そんなもの今の状態では言えないでしょう?」


「悠夜は、皆にあんな思いをさせたくないのよね…そして彼女にも。ほんとは好きなのよね?花月チャンのこと。」
「別に嫌いではありませんが…。」

「少しは自分に正直になったらどう?花月チャンを巻き込みたくないから、裏庭でわざと怖い思いをさせたんでしょう?劉磨クンは気づかなかったみたいだけど…。」


「でもそうやって…いつまでも隠してるから…劉磨は苦しんでる…失った記憶を取り戻そうとして必死にもがいてる。」


「では言えというんですか…?私たちが柚を追い詰めて苦しめたと…柚を殺したと言えばいいのですか?」

「それは……。」

「少し…頭を冷やした方がいいのかもしれませんね。愛に溺れるなど…下等生物のすることです。最近の私たちはどこかおかしい…手遅れになる前に…戻らなければ…。」