「悪いけど、お前の気持ちには応えられない。」

今日、私、朱鷺院楓は赤羽劉磨くんに告白をしてフラれた。花月と聖が結婚して2年。私もあの2人みたいになれたらって思っていたのに私の夢は…叶わなかったみたい。


「劉磨くんは、やっぱり花月のことが好きだから…?」

「別にそんなんじゃ…ねえ。それにお前こないだ琉生に告られてたんだから琉生と付き合えばいいだろ。」

「話を逸らさないでよ。私は劉磨くんが好きなの。本気でぶつかってくれて、私を追いかけてくれて、優しくしてくれた劉磨くんが好きなの。」

「優しさなんて誰にでもあんだろ。なんで俺に固執すんだよ。俺はお前の気持ちには応えられない。じゃあ、仕事あるから。」
「待って…!それなら体だけでもいい。」

「それ、どういう意味か分かってんの?」
「分かってるよ!私ももう20歳になるんだよ。大人の恋愛だってできるもん。」


「まだ能力が分かっていないのにか?」



そう、劉磨くんの言う通り私の吸血鬼としての能力はまだ分かっていない。5年経って牙はやっと生え始めてきたけどまだ生えかけで立派な吸血鬼だとも言えない。


「いいからとっとと帰れ。ほら、琉生が待ってるぞ。」



劉磨くんに促された方向を見ると心配そうな顔をしている琉生くんが立っていた。


「楓ちゃん、大丈夫?僕、心配で…。」

「別に平気。いいから帰ろ。」
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「楓ちゃん、本当に大丈夫?」
「大丈夫だって言ってるでしょ!ただフラれただけだもん。こんなの…全然平気…。」

「楓ちゃん、パフェ食べに行こ!隣町にね、新しいカフェができたんだって。きっと美味しくてほっぺた落ちちゃうよ。」

「それなら……好きな人と行けばいいじゃない。いつもいつも無理して私に付き合う必要ないの。」

「ぼ、僕は楓ちゃんが好きなんだもん。だから楓ちゃんと行きたいの。」

「いつまでも楓ちゃん楓ちゃんって付き纏わないでよ!」
「ご、ごめんね……。」



はあ、私って最低だ。フラれたからって琉生くんにあたって。ただ琉生くんは私を好きだと言ってくれているだけなのに。


「僕じゃ…赤羽先輩の代わりになれない…?僕、楓ちゃんのためならなんだってできるよ!」

「琉生くんは、私がキスしてほしいって言ったらキスしてくれる…?抱いてほしいって言ったら抱いてくれる…?」
「も、もちろんだよ…!それが楓ちゃんの望みなら僕は……」


「そうだよね…。でも、私はそれじゃダメなの。劉磨くんみたいな人じゃなきゃ…ダメなの。」

「え……楓ちゃんってドM?」
「ち、違う!そんなんじゃない。そんなんじゃ……。」

「僕が…赤羽先輩を忘れさせてあげる。楓ちゃんが望む男になって。」