「ふーん、で、結局花月が全部まとめてくれたわけね。聖、カッコ悪い。」


皆と一緒に聖さんを迎えにきたとき、海未さんの念が通じてきた。


『死んでやる』


そう、聞いたとき、海未さんが自殺を図るなら聖さんとの結婚をやめてもいい、そう思った。でも、海未さんにそう伝えることはできなかった。結局私の心の中はドロドロで私も私のことを優先してたんだな。


「花月、ありがとな。海未を助けてくれて。それに皆で迎えに来てくれてありがとう。」

「まあ、あれだけもめて家を飛び出したからさすがに心配したのよ。それに、この後行く場所がもう1カ所あったから。花月チャンが海未ちゃんの自殺未遂に気づいたのは偶然だったけど。」


「…そういや楓は?」


「楓ちゃん、今はお家に戻ってご両親と話をしています。もう、『私は大丈夫』だと言っていました。だから家に戻るためにご両親に挨拶に。」

「…そうか。」




「あら、花月チャンったら大事なこと忘れているわよ。」

「へ…?大事なこと…ですか…?」


「花月チャン、ハッピーバースデー!」


泰揮クンの言葉と共に私の前に差し出されるプレゼント。そういえば今日って私の誕生日だったっけ……いろいろあってすっかり忘れていた。


「本当はこのような道端でお渡しする物ではありませんが、貴女が生まれた大切な日です。おめでとうございます。」

「帰ったら花月の誕生日パーティーだよ。」


「久しぶりに俺も料理するかな。食いたいものは?」


「なんでも……じゃなくて、えっと……ガトーショコラが食べたいです。」

「ん、了解。」

「あー、劉磨が点数稼ごうとしてる。」

「べ、別にそんなんじゃねえよ。お前だって聖殴ってカッコつけてただろ。」
「僕のはいいの!花月のためだからー。」



「…花月、手、繋ぐか…?」
「うん……。」



言葉を伝えるというのはとても勇気がいることで、相手のことが大切だからこそ言えないこともある。それでも歩んでいきたい未来があるのなら自分のためにも前に進むべきなんだ。待っている未来のために。