私、何がしたかったんだろう。間違いなく火に油を注いじゃったよね。

「…花月、その……。」

「聖さん…ごめんね。私…何もできなかった。」
「…いや……俺は花月を困らせて…ばかりだな。」


「そんなことないよ!でも……なんか海未さんと話をしたとき、私って狡いんだなって…思ったの。いいことをしようとしているだけなのかもって…。」

「…でも本気で海未と仲良くしてくれようとしたんだろ?」


「私……まだ早かったのかもしれないね、聖さんのご家族と会うの。」

「…それは…俺とはいられないってことか…?」


違う…私は聖さんと一緒にいたい。一緒にいたいけど……まだ分からないことが多いのかもしれない。難しいことが多いのかもしれない。

「聖さん…1度距離を置きませんか…?」
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「あれ~?どちら様……って、聖と花月もう帰ってきたの!?今日は泊まってくるんじゃ…」


「ごめん、奏。少し1人にさせてほしいの。」



あの後気まずくなって、聖さんのご両親は気を遣ってくれたけど……居た堪れなくなって帰ってきてしまった。

聖さんとは喧嘩したわけじゃない。喧嘩をしたわけじゃないけど……でも…

「分かった……姫は下で見てるから、心を落ち着かせてきな。」