「秋の田のかりほの庵の苫をあらみ、わが衣では露にぬれつつ。」

「っていうことは『あ』だな!」
「何言ってんの、百人一首は下の句の部分を取るんだから『わ』でしょ。馬鹿なんだから。」



劉磨さんに悪態をつきながらもしっかりと取り札を取っている奏。


なんだか…

「ほほえましいね。」

「そ、それくらい俺にだって分かってるよ。下の句だもんな、百人一首っといやあ、下の句だもんな。」
「足引っ張らないでよね。」


「…劉磨と奏、お似合いだな。」

「それ言えてるわ。ほんと花月が2人を選ばなくてよかったよ。」

「あ、あはは……。」
――――――――――――――
「さあ結果発表だよ~!」


「結果発表はいいが琉生、お前1枚も取れてないじゃねえか。」
「僕は0枚だけど、楓ちゃんが8枚とってくれたも~ん!」



百人一首のカルタ大会は無事終わり取れた札の枚数数え。たくさん札は取れたけれど、数の多さよりも皆で楽しく過ごせたことが一番の幸せかな。


「さーてと……アタシはそろそろ夕食の支度でもしようかしら。輝石クンたちはどうするの?」

「俺らは帰る。正月とはいえいつまでもここにいるわけにもいかないし、やること山積みだからな。」

「楓ちゃん、また僕会いに来るからね。」
「う、うん……ありがとう。」
「絶対絶対くるからね!」



「花月さん。」
「李仁……くんも元気でね。」

「お心遣いありがとうございます。花月さんも……皆さんもどうかお元気で。また会うときには貴女の力になれるよう尽力いたします。」



「うん……ありがとう。」