「花月ちゃん大丈夫!?」

「結愛…ちゃん…。」

「私たちが…命令を聞けなかったから…もしかしたら楓様がって……楓様…!?」


「結愛、先に行かないで…って、何で楓様が花月に頭を撫でられているわけ…?」

「は、離してよ。」
「ダメです。これは貴女が今まで甘えられなかった分です。」

「なに意味の分からないこと言ってんのよ。こんな恥ずかしいこと……」

「人に甘えるのは、恥ずかしいことじゃないですよ。甘えられるうちは甘えたほうがいいです。甘える中でたくさんのことを経験して、思うことを感じればいいんです。」


「はあ?結愛、あずさ、こいつを離して…」


「あ、えっと……」
「そう言われても……」


「わ、私の言うことが聞けないの!?私は理事長の娘なのよ。簡単にあんたたちのことなんか……」




「そのままでいいんじゃねえの、花月。」

「りゅ、劉磨さん!?なんでここに……」


「奏から全部聞いた。水瀬結愛が奏に怪我させたのも黒幕が朱鷺院楓ってことも。」

「桃瀬くんは…桃瀬くんは無事なの…?」



「泰揮が手当てして意識も戻ってる。悠夜が戻ってきたと思ったらいきなり学園中の生徒の記憶を操作するって言いだすし、聖は帰ってこねえし……。」

「桃瀬くん…無事だったんだ……よかった…。」

「いいわけねえだろ。俺らが動かなきゃとんでもねえ騒ぎになってんだぞ。」




「…劉磨は何もしてない……。」
「なんだとこら。聖こそ何もしてねえじゃねえかよ。黙ってみてたんだろ。」

「…いや、俺は…」





「私が、来ないでって言ったの。私が楓さんに伝えなきゃいけないって思ったから。」