昨日…皆とお茶会したとき、奏がいなくて寂しかった。でも…心配かけてしまったら悪いから……何も言えなかった。


「このまま……ずっと喧嘩なんてこと…ないよね…。」


いつもよりも早い朝の大広間は静かで自分の声が響きわたる。いつもはここに皆がいて…楽しい声が響いていて幸せになるのに…今はとても寂しい。



「そんなことないよ。」
「か、奏…!?」

「花月、おはよう。」



前みたいにニコニコしていて機嫌が良さそうな奏。

もしかして、聖さんと仲直り…できたのかな……?


「仲直り…できたの……?」

「うん……。心配させてごめんね。あと…花月を1人にしちゃってごめんね…。」

「ううん……大丈夫だよ。だって、今の奏は前よりも明るい顔になったから。仲直りできたなら…よかった。」


「僕が聖と喧嘩したのはね…僕が花月を利用しようとしたからなんだ。」
「え……?」

「僕…怖かったんだ。花月が僕から離れて行ってしまう気がした。だからいつも何か理由をつけて、花月の中に僕を確立させたかった。僕が1番なんだって思いたかった。だからね、花月のことを好きな聖に嫉妬したの。何でもできるはずの僕が何で聖に負けるんだって、つまらない意地張って、勝負をしようって持ちかけた。その勝負のために花月を景品にしようとした。本当、僕ってまだまだ子供でダメな奴なんだって思った。聖は、花月が利用されることに怒ったんだよ。僕の自己満足のために花月を利用するなって、本気で怒ってた。僕は花月に善い奴だって思われたくて言っているんだと思ってた。でも…聖は僕のためにも怒ったんだよ。すごいよね…人のために怒って…人のために嫌われるようなことして……僕だったらそんなことできない。」

「でも、奏にもいいところ、たくさんあるよ。」

「ありがとう……。でも、僕の良いところは…僕が良いと思っていたところは全部自己満足で自分のためだけのことだったんだ。だから……僕は花月に相応しい男になれないんだって今回のことで痛いほどわかった。」


「奏……?」


「僕が花月にしたかった話の本題はここから。聞いてくれる…?」