「花月ちゃん、今日一緒に帰ろう。」

「でも……皆が良いっていうかどうか……。」


「大丈夫だよ。”馬鹿”で”鈍く”て花月に”寂しい思い”をさせる男たちより、私たちと一緒にいたほうが楽しいよ。」
「…!!」


「うん……そしたら、今日からは結愛ちゃんとあずさちゃんと帰ろうかな……。」



本当にこれでうまくいくのかな……?かえって皆を怒らせたり、迷惑かけたりしないかな……?



「おい、そいつは俺らのだぞ。」

「あれー?クールで大人な男の人はそんなこと言わないんじゃないの?赤羽くん?」

「な……。」


「いつもの我が儘で俺様な自分じゃ花月とは対等な立場になれない。感情のままに動いてしまう自分を律して自分のことは自分で解決できるような男にならないと花月の隣には立てない。そんなこと考えていたんでしょ……?」


「う、うるせえ。迷惑かけるような奴じゃ困るって思っただけだ。」

「赤羽くんも随分相手のことを考えられるようになったんだねー……でもさ、いつ、誰が、迷惑だって言ったの……?」

「そんなの言われなくてもわかるだろ…何もできないような奴じゃ嫌だろ…」

「じゃあ、聞き方変える。赤羽くんと一緒にいて花月が本気で嫌がったことはあったの……?迷惑だって言ったことはあったの…?」

「それは……。」

「今君がやっていることが、君なりの花月への誠意なんだとは思うけど、花月はありのままの赤羽くんを見て一緒にいてくれているんじゃないの…?」



「奏くんたちもだよ。緑川くんとの間に何があったのかも喧嘩の原因も私たちは知らない。別に追及するつもりもないよ。でもさ、最近まで仲が良かった人たちが急に会話をしなくなったら……関わりを持たなくなったら……花月ちゃんは心配するんじゃない?何があったのかな、原因を聞いてもいいのかな、もしかしたら……私が何かしたのかな……って。喧嘩するのは悪いことじゃないよ。私もあずさとよく喧嘩するし口を利かないときもある。それでも、周りの人たちに心配や迷惑をかけるようなことはしない。大切な人達を放ってまで自分たちだけの世界には入らない。花月ちゃんがこっちの世界に来た経緯はなんとなく知ってるよ。こっちの世界の住人としては迷惑な事件だったからね。でも、そういう経験をしてる花月ちゃんにとっては、寂しさって1番怖いものなんじゃないの…?奏くんたちは花月ちゃんの家族なんじゃないの?花月ちゃんを1人にしてるってことに気が付かないの?」


「花月のことを思ってるから……だから……。」
「そういう優しさはたしかにあるよ。花月絡みの喧嘩だから話したらかえって傷つけるって思ったんでしょ?でも、私たちだってもうただの子どもじゃない。そういう感情にも対応して生きていくべきなんじゃない?無理に仲直りしろなんて言わないけど、もう少し花月のことは見てあげたら?」



2人の言う通り、私は寂しかった。不安だった。離れて行ってしまうような劉磨さんも……私とも会話をしてくれない奏と聖さんも……自分じゃ何もできないことも……


でも、それは私の我が儘で……言ってはいけないような気がしたから……怖くて言えなかった。



「という感じだけど、花月ちゃんはどうする?」