聞いてしまった…2人の会話。1階に降りようとした螺旋階段で。

2人の会話からして何かを隠していることは明らかだ。やはり柚さんのことが気になる。悠夜さんのあとを静かについていくことにした。


「庭…?こんなところあったのか…。」


どれくらい歩いたのだろう。悠夜さんのあとをついていくとよく分からない場所へ出てしまった。



「さきほどから私のあとをつけていたみたいですが、何か御用ですか?花月さん。」
「は、悠夜さん…教えてください…柚さんのこと…私が来る前のこと…。」
「まったく…貴女には危機感というものが無いのですか?男性と2人きりになったらどうなるか…。」

悠夜さんの指が私の顎をなぞる。

「か、からかわないでください…私は知りたいだけです。」
「いいのですか?今の何も知らない状態がどれだけ幸せか…貴女は考えたことが無いのですか?闇を知ることがどれだけ辛く悲しいものなのか…。」

「…それでも…知りたいんです。」
「そうですか…では…。」

悠夜さんが私の体を引き寄せ首筋をなぞる。

「やめ…。」
「ごちそうの後に教えて差し上げましょう。」


悠夜さんの唇が首筋に当たった瞬間、後ろに体がのけ反った。

「悠夜、やめろ。」
「りゅ、劉磨さん…。」
「余計なことを……。」

「とにかく、こい、花月。」


劉磨さんが私の腕を引き歩いていく。悠夜さんはその様子を見ながら不気味な笑みを浮かべていた。