黒鬼院さんの背後から姿を現したのは、全てが変わったあの日、私の目の前で殺された――


「雪……乃…?」

「お久しぶりです。お嬢様。」


あの日、雪乃は死んだはず。チョーカーしか取り戻せなかった。


それなのに……なんで……一体どういうこと…?



「さて、ここからのコトは頼んだぞ。雪。」

「かしこまりました。ご主人様。」





「あの日……雪乃は死んだんじゃなかったの……?私の目の前で吸血鬼たちに……。」


「お嬢様、部屋へご案内します。続きはそちらでお話ししましょう。」
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案内されたのは家具1つ置かれていない殺風景な部屋だった。


こんなところで何を話すというの……?


「ねえ、雪―」

「お嬢様は吸血鬼などと一緒に生活をしているのですか?」
「え……?」


「旦那様…奥様…使用人たち…そして私を殺した吸血鬼と暮らしているのか、とお聞きしているのです。」


「殺したって……じゃあ、何で雪乃はここに……?」

「私が、先にお聞きしているのです。お答えください。」



怖い……あんなに優しかった雪乃じゃない。笑っていない目も、不気味な笑い方も……私が知っている雪乃じゃない。



「たしかに……皆は吸血鬼だけれど……でも…優しくていい人たちよ。」











「がっかりですよ、お嬢様。貴女は賢い方だったはず。それがこんなにも簡単に騙されているだなんて……。」