ひだまりと海の間で

ひとの人生って、海みたいなものなんだと思う。


目の前に広がる海は、今はゆっくりと波を運んでくるだけで穏やかだ。


でも時には荒天に荒れ狂ったり、突然波が引くことだってある。




ーーーーーー自他ともに認める健康優良児だったわたしの心臓に難病が見つかったのは、6年前、小学四年生のときだった。




咳の出る風邪のような症状が長い間収まらなくて病院に行ったら、そのまま入院になった。


その時わたしの心臓は半分も機能していなくて、告げられたのは突然死の可能性と、最終的には心臓移植しか方法がないという事実。


まさに穏やかだったわたしの生活が一瞬にして崩れたのだ。


長かった。


何度ももうわたしはだめだと思った。


奇跡的にドナーが見つかって、奇跡的にその時までわたしが生きていて、奇跡的に適合して、やっと手術が受けられて。


さらにその後、奇跡的に予後が良くて、奇跡的にそれまでの薬の副作用がなければ、ようやく元の生活に戻れる。


そんな奇跡、なかなか起こるものじゃない。