コーヒーに目がいく。

年上そうだった。

俺たちと入れ違いで出て行ったあの人。

そしてこの香り。

桃奈さんが少し視線を外して遥に答えた言葉。

…俺が感じる違和感。

思考がまとまる頃には、桃奈さんの手を掴んでて、

「れ、れいちゃん?どうしたの?」

「桃奈さん、約束忘れたの?」

桃奈さんはもともとクリクリした大きな目をさらに大きくする。

「桃奈さん」

すっげーモヤモヤする。

今頭によぎったこの考えが事実なのかどうかわからないけど、

でも、すげー悔しい。

なんで、俺じゃないの。

「れいちゃん?なんでそんな顔…」

「桃奈さんが1番わかるでしょ。」

桃奈さんは黙る。

周りが慌ててるのがわかる。

わかるけど俺も引けない。

「れいちゃんは眩しいね。絶対そのままでいてね。」

桃奈さんは俺の手をスルリと抜けて、

「デザートもあるよ!」

なんていつも通りの笑顔でいう。

眩しい?そのままでいて?

何、桃奈さん、どうしたの?