茉由との挨拶が終わって、ようやく目が合う。

「桃奈さん、お邪魔します。」

「ふふ、久しぶりだね!れいちゃん!」

桃奈さんは笑う。

「あ、そうだ、忘れないうちに…匂いとれてると思うんですけど、遅くなってすみません。」

文化祭でかりたネクタイを返す、

少し桃奈さんが固まった気配がする。

「桃奈さん?」

「あ、ごめん、うん、ありがとう。そのままでも全然よかったのに!」

…やっぱり少しいつもと違う。

なんかボーッとしてる?

部屋に入ると、桃奈さんの手料理が並べられていて、

美味しそうな匂いがする。

「今日はねー!張り切っちゃったー!」

桃奈さんはいつも通りに戻ってニコニコと準備を進める。

「あれ、姉ちゃんだれかきてたの?」

「…なんで?」

桃奈さんが少し動きが止まる。

「いや、だって、姉ちゃんコーヒー飲まないじゃん。」

ダイニングのほうでなく、

リビングの机の上にカップが1つ。

その中には、コーヒーが入ってるみたいで、遥が気になったんだろう。

「あー、ちょっとね、打ち合わせで人来てたんだよ〜」

「そーなんだ!」

特に気にする様子もなく、遥は桃奈さんの手伝いを始める。

…桃奈さん?