「私だって桃奈さんが夜遅くまで勉強したり、バイトしたり、お金の計算したりしてるの知ってるし。」
泊まってんのかよっと口を挟みそうになって我慢する。
「そんなとこみたらさ、私にとっても桃奈さんは憧れだし好きな人の大切な人だよ?少しでも手伝えることはしたいじゃん…」
下を向くから、
泣いてしまうのでは、と心配する。
…タオルとか今持ってない。
「けどさ、遥がね!お前には関係ないし、俺は一生姉ちゃん優先だと思うからごめんとか言うの!」
ガバッと顔を上げて、
リレーで走る遥を少し睨みつける。
え、結構、横山って予想外というか…面白いな。
「そんなのわかってるつーの!何年一緒にいるんだバカ!桃奈さんを大切にしない遥なんか、私の好きな遥じゃないし!!!…って思ったけど悔しくて言葉に出なかった…」
切ない顔で笑う。
遥をみる目は怒ってる口調とは裏腹に優しい。
やっぱりカッコいいよ。
「でも、さっき遥があとで話そうって言ってくれたからこの思いぶつけてスッキリしてやるんだ!」
と最後は笑っていう。
「横山はほんと、カッコいいよ。…見習わないとな。」
横山は笑って、
「遥より、桃奈さんの方が手強いと思う!…お互い頑張ろうね。」
最後は自信なさげにポツリという。
「ん、届くといいな、お互いに。」
横山は小さくうなずく。
この日を境に横山と相談し合う仲になったのはまた後の話…。

