体育座りをして、うずくまって、
遥は自分の気持ちを話す。
「だから、あの時、姉ちゃんに次に彼氏ができたら、気を使わないとって思ってたのに、それ以降そういう話は全くでなくて、」
「うん。」
「俺のせいで、普段からバイトもして、家事も全部して、大変なのに。そこでも負担にはなりたくないのに…」
負担とは…桃奈さんは思ってないと思う。
けど、遥の話を最後まで聞く。
「そりゃ、萌愛とのこと考えなかったわけじゃないし、嬉しかった。けど、姉ちゃんが浮かんで。」
桃奈さんが同じ状況でもきっと同じことを言うんだろう。
「姉ちゃんは気を使って絶対体調悪くても自分が寂しくても、俺がデート行くって言ったら言わないだろうし、萌愛も姉ちゃんのためって言ったらドタキャンに何も言わないと思う、甘えだ。俺は2人ともに失礼で、」
しばらく静かになる。
また口を開くと、
「だから、姉ちゃんだけを大切にって思ったのに…伝わらないし怒るし…引かないしで喧嘩した。」
と続けて、
カッコ悪りぃーっとまた小さくなる。
「よく似てるというか、さすが兄弟だよね、桃奈さんと遥は。」
遥がゆっくり顔を上げて、首を傾げる。
その仕草もそのまま桃奈さんしそうだし。
「横山はなんて言ったの?」
「…好きだから、俺のそばにいたいって。1人で守らなくてもいいじゃんって言ってくれて…あ。」
「俺も桃奈さんと遥にそう思うし、2人が今後誰と付き合っても、お互いを大切にしないことなんてないと思ってる。」
遥は、はぁーっと息を吐き出す。
「姉ちゃんと話して、萌愛にもちゃんと言う。…姉ちゃん頑固だから聞いてくれるかわかんないけど。」
「それがいいと思う。ほら、お前の番。いってこい。」
「ありがとう、玲司!お前が親友でよかった!」
遥はいつもの元気で、
走り出していく。
その途中、戻ってくる横山に何か話しかけてるみたい。
…問題は、桃奈さんかな。