「玲司じゃないみたい…」
呟く茉由の声を特に意識することなく、
「…遥、帰ったら連絡くれ。」
「了解!じゃあ萌愛、俺らも帰るか!」
解散してどんどん離れてく部活の奴ら。
途中まで方向同じ奴らと帰ってたけど、
家の近くで茉由と2人になる。
「玲司は…桃奈さんと付き合ってるの?」
茉由の声。
後ろからした声に軽く振り返ると、
俺より少し後ろを歩いて俯いている。
「…付き合ってない。男として見られてないし。」
「ふぅーん…」
いつもより静かな茉由。
「なに、体調悪いの?」
「ううん、ただ玲司が離れてく気がするだけ。」
「そりゃ子供じゃないからな。」
「…ばか。」
そのあとも茉由は静かに後ろを歩いて帰った。
その間も桃奈さんが無事に帰れたか気にしてた俺には、
「…あの人ばっか、ずるい」
なんて茉由の声は耳に入らなかった。