二ヒヒって悪戯に笑って、

「迎えにきたって言っても、カーディガンはともかくネクタイないとやっぱり困るだろってみんなに言われて、返しにきただけ!」

…そこまで正直に話さなくても。

「えーっとね、はい、この紙袋に入れてる!ありがとう!」

紙袋を受け取って中を見て、

自分のネクタイも返さないと、

と思ってふと気づく。

「桃奈さん、俺、焼肉食べた。」

「え?うん、知ってるよ?」

「…ネクタイ匂いついてるからちゃんとしてから返します。」

えー、別にいーよ?なんて、

桃奈さんは言ってるけど、

俺が気にするから。

桃奈さんは渡したら、

「じゃ、それだけだから!はるちゃん、先帰ってるね!」

「え、姉ちゃん一緒に…」

「はるちゃん、萌愛ちゃん送ってあげてよ!じゃ!」

そう言って本当に帰ろうとする、

「桃奈さん、送る!」

慌てて声をかけたら、

「れいちゃんにも幼なじみちゃんを送る使命があります!お姉さんは1人で帰れるよ〜」

って手を振って小走りに人混みに消えてく。

…自由すぎる。

「玲司、帰ろ?」

いつのまにか横にいた茉由。



「わり、先帰ってて。」

後を追って走り出そうとしたら、

腕を引かれる。