桃奈さんは気付いてないのか、
「れいちゃんが送ってくれてお話してたの!」
と元気に返事をする。
桃奈さんと俺をもう一回まじまじとみた洸さんは不機嫌そうな顔で、
「なに、その格好。」
そう呟く。
たぶん、俺が洸さんの立場でもそう言うと思う。
好きな女が他の男とネクタイ交換して、カーディガンきて家の前で話してるんだから。
「れいちゃんの彼女コーデ!!貸してもらったの〜」
くるくると回って洸さんに見せる桃奈さんは状況が全く読めてないと思う。
「玲司…くんだっけ?送ってくれて助かった。ほら、桃奈、中入るぞ。」
桃奈さんの肩を抱いて、
桃奈さんを引き離そうとする。
あ…離れてく…
「れいちゃん本当ありがとう!打ち上げ楽しんでね!」
振り向いて手を振る桃奈さんと横で何か言ってる洸さん。
…仲良さそうだな。
…行かないとだよな。
桃奈さんにお辞儀して打ち上げまでの道を歩き始める。
「はぁ…」