桃奈さんはキョトンとした顔して、

「れいちゃんの…拗ねてる顔だ。」

とまじまじと俺の顔を見てくるから恥ずかしい。

「可愛い!今日はいっぱい可愛いれいちゃん見れたなぁ〜」

なんて言いながらまたネクタイに手をかけるから、

可愛いって言われるのは不本意だけど…不本意だけど…

「桃奈さん…返さなきゃだめ?」

桃奈さんは目をパチクリさせて、

「リボンもあるから大丈夫だけど…規則的にダメなんじゃない?」

「…今日だけ。」

「ふふ、赤のネクタイ気に入った?」

ほどき始めてたネクタイをきれいに結び直してくれる。

「…桃奈さんのものって感じがしてなんか…嬉しい。」

「れいちゃん意外に寂しがりや?はるちゃんでもネクタイ交換したことないよ?」

…そりゃ弟だから。

「はい、できた!打ち上げ楽しんできな!送ってくれてありがとう!」

ポンと胸を軽く叩かれて、

桃奈さんが満面の笑みを向けてくれる。



「桃奈さん、やっぱ、「桃奈?」」

…洸さん。

「洸!遅くなってごめんね!」

「もうすぐつくって言うのにおせえから見にきたけど…」

洸さんがチラッと俺を見る。