あ。

れいちゃんの手が私の手を止める。

「桃奈さん、遥ももちろんそうだけど、俺も桃奈さんを1人にしないです。」

れいちゃんが真っ直ぐに目を見て伝えてくれる。

心がすっと軽くなる感じがする。

「だから、桃奈さん、ネクタイ結んでください。今日は、桃奈さんのそばにいますから。」

少し赤くなったれいちゃんと目が合うと、

れいちゃんは視線をそらす。

なんだか、れいちゃんの首にネクタイを結ぶ手が震える気がした。

「れいちゃん、ごめんね、」

今日は怒らせたり、困らせたり、

迷惑ばかりかけてる。

「ありがとうっていってください。」

れいちゃんがいい子すぎて涙が出るよ。

ネクタイを結んでそのままれいちゃんの胸におでこをくっつける。

「ありがと…れいちゃん。」

「はい。どういたしまして。」

顔を上げたわけじゃないけど、

きっと優しい笑顔だ。

だって、声がすごく優しくて温かい。

「ホットミルクみたい…」

「え?いきなり?」

温かくて、ホッとして、優しくて、

そして甘い。