弟にしないで。


「俺も他の人の結んだことないんで…後ろ向いてください。」

ネクタイを返してもらう手が少し震える。

だせぇ。

緊張する。

「わかった!」

元気に後ろを向く桃奈さんの後ろにたつ。

ふぅ…

「ちょっとすみません、、、」

「ん?うん、お願いします!」

よくわからないまま返事しないでほしい。

後ろから桃奈さんを包み込んで、

桃奈さんの首にネクタイを通す。

そのままいつもの要領でネクタイを結ぶと、

桃奈さんが腕の中で、

「すごいれいちゃん上手!」

と全く意識されてない声を出す。

ほんと少し傷つくからもう少し意識くらいしてほしい…

「できましたよ。」

「わぁ!ありがとう!」

すぐに桃奈さんは自分なりに身なりを整えて、

いつもよりスカートをさらに少し短くして、少しだけカーディガンから見えるくらいに調節する。

ぶつぶつ言いながら楽しそうにしてるから、

たぶんまた何かアイデアを出してるのか、何か吸収してるんだろうなぁ。

ボーッとその姿に目を奪われていたら突然目が合う。