「なんでれいちゃんが動揺するの?」

ふふって小さく笑って、

謝るために目線を合わせようとしゃがんだ俺に手を伸ばして、

いつから乱れてたかわからない前髪を整え始める。

ちょ、この人は本当に…

「心配しなくても、はるちゃんが私にとって唯一無二であって、そのお友達のれいちゃんも特別なんだから!」

よく見えるようになった視界で、

二ヒッと悪戯に笑う好きな人は本当にずるい人だと思う。

「ずるいよ、桃奈さん。」

「ん?」

何がー?なんて笑うこの人は、

本当にずるい。

とんでもない小悪魔に魅せられてしまったよう。

…まぁでも仕方ない。

魅せられて、もう欲してしまってるんだから…。

「桃奈さん、好きですよ。」

「うん、私もれいちゃん好きっ!」

なんて返して腕に飛びついてくるこの人はいつになったら、

この好きという告白に気付いてくれるんだろう。