「れいちゃん…?」
っ、
ハッとする。
あぶねぇ、何しようとしてた。
「れいちゃん、痛い…」
「す、すみません。力いれすぎました…」
俺は桃奈さんの腕を掴んで引き寄せて、
衝動に任せて、
キス、しようとしてた。
桃奈さんが俺の名前呼ばなかったら、
止められなかった…
何やってんだ。
これじゃあガキすぎる。
桃奈さんが遥を大切にしてる気持ちも土足で踏み荒らすところだった。
やばい、へこむ…
「れいちゃん…やっぱり私帰るよ!」
は!?
「なんで、」
「だってれいちゃんも疲れてるだろうし…いつもみたいに優しく笑ってくれない…」
っ、
「帰らないでください。」
「…」
あーもぅ、マジでかっこ悪い。
「すいません、桃奈さんに彼氏いたって聞いて少し動揺してました。」
桃奈さんはキョトンとする。
まぁそういう顔になるでしょうね。
自分に好意持ってるなんて微塵も感じてないから…
悔しいことに。