弟にしないで。





そんな幸せな日から数年が過ぎて、

「姉ちゃん、行ってくる!」

少し寂しくなりながらその背中を見守る。

今日からはるちゃんは萌愛ちゃんと同棲。

そして私も家を離れる。

沢山の思い出が詰まったこの家を離れるのは悲しいけど、

これもまた私の新しい道の始まりだから。

不動産屋さんと手続きを済ませて、

新しい家に行くと、

「桃奈片付け手伝う。」

と先に引っ越しを終えた友人たちが荷ほどきを手伝ってくれる。

今日からこの友人たちと部屋は違うけど、会社兼自宅のこの家での生活スタート。

「あ、電話!ごめん、ちょっと電話してくる!」

ベランダに出ててから電話をとる。

『もしもし。桃奈さん?引っ越し順調?』

「れいちゃん!順調だよ!れいちゃんはそっちはどう?」

『あー、ついていくのに必死。でも絶対結果残して桃奈さんのとこ戻るから。』

相変わらず一途な彼はわたしをまっすぐ見ててくれて、ストレートな愛情表現をしてくれる。

今はすぐそばにいるわけじゃないけど、

れいちゃんはわたしを支えてくれて、私たちの夢を応援してくれつつ、

自分の夢のために必死に頑張ってる。

一途にずっと私と一緒に歩いてくれる彼と今日もその先も、

2人で寄り添って進んでいきたい。

強くなろうと必死ではるちゃんを守ることばっかの昔の私。

1人で頑張り過ぎないで。

大丈夫、そばには沢山の温かい友人と、全てを包んで愛してくれる大切な人がいるよ。

だから安心してね。

きっと今もこの先もずっと幸せだから…




〜完〜